les spacey espacent日本人がカキモノ公開中

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2013.03.06 Wednesday ... - / -
#掻きたい背中
オマージュ妄想作文

「掻きたい背中」2002年
 


     オープニング

なにか、内臓から皮膚からむず痒いのは、始まりを焦る夏のせいでもないし誰のせいでもないし。
でもとにかく今日も一日を無事に塗り潰せたと、私は帰路を急いで自転車を漕ぐ。
額に汗が滲んでは、乾いた空気の中に溶けていった。
その光の粒のかたちを想像したりする。
そうゆうことを感じ取る自分の感性を自画自賛していれば、私は塗り潰す日々の中でいつまでも穏やかな心を保てていた。
畑や田んぼに囲まれたこの通学路は、あまりに無機質で真っ直ぐで、私を放っておいてくれている。
自転車のスピードを上げる。
鬱陶しい制服のスカートでさえ、風にはためいていれば画的に許せた。
直線道路の終わりのT字路の先は、小さな川になっていて、私のお気に入りだった。
あたしは時々土手に腰掛けて、夕日が沈むのを眺めたりしている。
青空はやけにポジティブで厚かましく思えて、逆に夕空は淡々としていて好きだった。
今日も夕空のエナジーに陶酔するつもりだ。

いつもは無いはずの、自転車が見える。
オレンジ色に撹乱した目で、私のその場所に人が居るのを見た。

坊主頭に制服、傍らにはでかいエナメル鞄。遠目に見ても、同じクラスの坂下くんだとわかった。

坂下くんは、夕暮れの橙に溶けていくようだった。水の緩やかな煌めき、若い色した雑草の茂りと一緒くたになったような日に焼けた肌。
その風景との調和に、見惚れないわけがなかった。ひどく贅沢で儚げなコントラスト。私は無性に悔しくなった。
 何よりも、坂下くんの背中は高級品に思えた。
 大きくて、固そうで、切ない。
そんなことをゆっくり考えながら、私はペダルに足をかけたままじっと立ち尽くしていた。




         1 

3年C組女子七番、高原聡子というのが、ここでの私の全て。 
私の所属するクラスは少し突出した「出来る集団」だ。大学進学クラスということもあり、殆ど全員勉強が出来る。
半数は運動部員、もう半数は文化部員で、それぞれがいかんなく個性を発揮。なんとなく団結力もあって、だからクラス対抗何とかになると、総合能力でいつも他を圧倒する。それでいて笑いの絶えない集団で、もうどこを切っても火の打ち所がないのである。
このクラスになって2年目を迎えても、私は誰かと同じようなスイッチが見つけられない。勉強も、運動も、会話も、友達も、流行も全部。
自分は高尚だと信じてずっとやってきたら、自ずと周りは要らなくなった。さすがにクラスメイトや教師たちは頭が良い。私に構わない。触れても触れられても面倒くさくなるという事を互いに分かりすぎてる。
人を欲したら必ず、人を憎んで自分を蔑むってことを、私はわかってる。
だから私にとってクラスメイトは、単なる観察の対象。それ以上でもそれ以下でもない。
クラスの女子は3つくらいのグループに分かれていた。まずは、ほとんどが運動部員で明るい女子たちが五、六人集まったグループ。このグループは何かと目立っていて、発言力もある。次は文化部員の多いグループ。全てにおいて平均値の真ん中にいるような女子の集まりだ。そして、大人しくて地味なグループ。スカート丈が長い。
こうして観ていると、みんな「同じ穴」に収まるのが安全でそれなりに楽しいのだろう。すごく小さな世界でそれがまるで自分の全てかのように、群れることに必死だ。間違ってないと思うけど。
女子の一番目立つグループは皆顔が可愛らしい。その中でも一番の実力者は松田里奈という女子である。
テニス部主将でクラス委員。飛び抜けて美人で、明るくて、頭が良い上に統率能力もあって、度々前に出てクラスをまとめていた。
私は彼女のことをよく知っているわけではないけれど、制服の着こなし方は上手だと思っている。
たぶん多くの女子にとってのトレンドである、指定の白いニットベストにやたら短いスカートとルーズソックスという着こなしをしている松田里奈は見たことがない。
いつもスカートと同生地の短い指定ベストに、スカートは膝より少し上くらいで、紺のハイソックスだ。それが集団の中で別格感を余計に煽っている。
男子は、髪型ばかり気にする目立つグループが一応あって、何となくはグループ分けされているけど、大半が無党派らしい。個々にポジションがある感じで、みんな気の向くままに会話している。私も男子だったら、少し変わっていたかも知れない。
坂下くんのクラスでのポジションは、大体中間くらいだと思う。野球部ということもあり、目立つ男子と一緒に居ることが多いが、余り積極的ではないようだった。休み時間に一人で席についている姿も、よく見かける。 

私は今まで気にも留めなかった坂下くんを、目で追うようになった。河原でのあの光景が、いちいち私に付きまとう。
何であそこにいたのだろう。
何を見つめて、何を考えていたのだろう。
いつ何のきっかけで立ち上がって帰るのだろう。
坂下くんは、一体どんな人なのだろう。
私にとってその行為は、立派に楽しめるものだった。何の興味もない人の動向を気紛れで観察するよりかは、楽しめそうだ。
「高原さん、呼んでるよ。」
笑みが溢れそうな想像を断ち切ったのは、沢村という女子の声だった。彼女は吹奏楽部で中堅グループのまさに象徴のような存在。
私を呼んだのは隣のクラスの番場豊だった。
「オマエいっつも一人で何してんの。俺んとこ来ればいいじゃん。」
そう言って豊は、丁寧に折った地理のプリントを差し出した。
豊とは小学校からの友達だ。共通の趣味を持っていて、なんとなく波長が合った。社交的で友人の多い豊だが、未だに私のもとを離れなかった。授業中に女子みたいに手紙を書くのが趣味で、いつも休み時間に渡しに来る。だから、私は豊としか会話しない日がほとんどだ。
「妄想もたいがいにしろよ。」
チャイムが鳴って、豊は足早に自分の教室へと戻った。
次の古典の授業中に私は豊のくれた紙を開いた。小テストの裏面にびっしりと書かれた私よりも綺麗な文字をなぞる事で、何とか穏やかにこの時間を潰せそうだった。
豊はこうして大体一日に一度、私に手紙を書く。他愛のないことから深刻なことまで、話題は果てしないが、最近は豊の新しい彼女の話で持ちきりだった。
けれど毎日豊が私に手紙を渡すという光景は、正しくないらしい。一度、こんな陰口を聞いた。
 高原さんと番場くんって付き合ってるのかなぁ?
 ありえないでしょー、高原さん何考えてるかわかんなくて怖いしー。
私はこうゆうのが一番イラッとする。でも豊に言ったら笑っていた。文化の違いだから仕方ないって、そんなような事を言っていた。
まだ下校まで何時間もある。あたしは今日の残りの時間を大いに活用して、豊への返信を書くと決めた。今日は、たくさん書くことがある。

私の席は廊下側の後ろから二番目。坂下くんは窓側の前から二番目で、距離はあるものの角度的に無意識に目に入る位置だった。坂下くんは斜め後ろすぐの席の松田里奈とよく話をしていた。
それは以前からよく見る光景だったけれど、今は、坂下が松田里奈の方を向く度に坂下の表情が私の目に焼き付くのだ。
窓枠に囲われた気の遠くなるような空の青。そこに坊主で陽に焼けた坂下くんがひどく映える。
単なる映像美。
単にそれを観察し続ける私。
まだほんの少しの動揺を、豊への手紙に印した。
坂下くんの背中に触れてみたいと思ったこととか。
茶色のプリントの上だけに、私は思う存分変人ぶった。何となく込み上げてきた笑みを、必死に噛み砕きながら。





         2 


本格的に夏が到来しても私の脳みそは懲りなかった。
豊はやはり物分かりが良く、私の妄想や映像化などの変人行為にひたすら好奇心で応えてくれていた。
あれからも、河原でじっとしている坂下くんの姿を見かけていた。けれど私と坂下くんを繋ぐものはひとつも無くて、それだけが歯痒く、これからどんどん自分が貪欲になるのだと思うと、鬱になる。
もしこのまま、私が坂下くんに恋をしたとする。
周りと同じような、状況と感覚で恋をするのだろうか。その「普通さ」は、この世で私が一番嫌いなもの。

教室は夏独特の「白さ」で満ち溢れていた。
坂下くんも、どんどん陽に焼けて、「白さ」の空気によく似合っていた。
高校最後の高体連が始まったとかで、欠席者が相次ぐようになった。
そして生物の移動教室で思いがけない事が起こった。
欠席者の分を詰めた席順で、坂下くんが私の目の前の席に座ったのだった。平机に男女3人ずつが向かい合わせに座る形で、気を抜くと足が触れてしまう距離だ。
平然を装う私の目の前で、坂下くんは隣の席の鈴木と冗談を言い合っている。盗み見をさえままならない。そのうちに坂下くんは自分の筆箱を探り始めた。
「あ、シャーペン忘れた。鈴木貸して」
「俺一個しかねぇよ」
何だよー、と言って坂下くんが頭を掻きながら、こっちを向いた。
「高原、ある?」
私はひとつ胸が高鳴ったのを確認したあと、自分の使っていたシャーペンを自然に坂下くんに差し向けた。
「いいの?サンキュー」
そう言って、坂下くんは首を少し傾けてシャーペンを取った。胸がざわめいて仕方ない。
私の思考がうまくまとまらないうちに、授業が終わった。坂下くんと鈴木は、急いで教科書をたたみ廊下へ駆け出してゆく。
坂下くんは私のシャープペンシルを持ったままだ。
その「繋がり」に、私は期待をしていた。
期待と妄想は、放課後までにはベタベタなローティーン文庫に書かれてる方向に膨らんでいった。
とりあえず、やらずにはいられないと。
今日あの場所に坂下くんがいたら、話しかける。

夕日の橙色が、右頬を容赦無く照らす。全速力で自転車をこいでも逃れられない。
あの河原が近づくにつれて、私の心臓の鼓動は速さを増した。土手に、自転車が一台停まっているのが見えたのだ。
坂下くんがいる。いつもと同じように、夕日に顔を向けて座っていた。
私は坂下くんの自転車の横に自分の自転車を停めた。目線を坂下の後ろ姿に向けたまま、自分の気持ちが冷静になる瞬間を見計らう。息を、大きく吸ったり吐いたりして。
「坂下くん!」
声が浮ついていた。大きい声を出すのはどれくらいぶりか、わからない。
私のうわずったその声に、坂下くんは肩で小さく反応した。そして、こっちを向いて、夕日に撹乱された目をひとつこすった。
「高原?」
「そこ行ってもいい?シャーペンが…」
私はそう言うと同時に、草むらに足を踏み入れた。
坂下くんが自分の鞄を慌てて探っている。私は生い茂る雑草に足をとられながら、坂下くんのもとへ駆け下りていった。
「すっかり忘れてた。ごめんな。ハイ」
坂下くんが立ち上がって、私にシャープペンシルを差し向けた。受け取ったらこの「繋がり」がひとつ終わる。
「高原も座れば」
私はその思いがけない言葉に無意識に反応して、鞄を隔てて坂下くんの横にゆっくりと座った。
雑草が素足にチクチクと当たり、こそばゆい。
仕方なくしゃがんだままでいると、坂下くんがそれに気付いて、小さく笑った。そして鞄からジャージの上着を取り出して、私の膝の上にそれを放った。
「それ敷けば」
「え、いいの?」
「全然」
私は坂下くんのさりげない優しさを受け入れ、ジャージを下に敷いてその上に座った。
秒速で、夕陽が落ちてゆくような感じだった。
私はやっと見つかった言葉を発した。
「練習終わったの?」
「うん。大会もうすぐだから、最近早いんだ」
よかった。私はごく自然に振る舞えている。坂下くんも、普通に応えてくれる。そう思ったら、口がどんどん動いた。
「坂下くん時々ここにいるよね。何やってんの?」
坂下くんは、恥ずかしそうに首を掻いた。
「別に何もしてねぇけど青春?」
多分、冗談で言っている。でも何故か本気だとしてもカッコ悪くはないと漠然と思う。
「変な奴だと思ってない?」
「ううん」
「練習で傷んだインナーマッスルを癒してんだ」
「インナーマッスル?」
「内側にある筋肉。見た目にはわかんないけど、裏側の…。まぁ基本だな。基本の筋肉」
「…野球部って、みんなそんななの?」
「ううん。俺だけ。スポーツ医学とか筋肉のこと考えるのとか好き」
私は思わず吹き出してしまった。坂下くんも、キラキラな笑顔をこっちに向けた。
なにかが弾けたらしく、坂下くんは喋りだした。どうゆう練習でどこに筋肉が付くとか、そんな筋肉マニア的な話ばかりだけど、私は夢中に話す坂下くんを見るのが楽しかった。
「あ、ごめんな。俺高原とあんま話したことなかったのに。引いた?」
「結構おもしろいけど」
「高原さぁ、結構普通じゃん。いっつも本とか読んでるし、俺ら見下されてるイメージあったけど」
私の動揺なんて考えなしに、坂下くんはさらっとそんな事を言うのだ。
確かに人を見下してる。でもそうしなきゃ、私は生きて行けないから。青春謳歌みたいなのに嫌悪感があるし。
私らしくない言葉が心の中で反芻している。でも口に出すことはできなかった。

冷静になると、ありえない状況だと思った。
どうしようもなく無垢な坂下くんの映像に私が入り込んだせいで、うんざりするような自分自身が見えてきた。
けれどそんなものは大した事はないと思わせられる。それは相変わらず夕陽のオレンジに眩しい坂下くんの姿のせいだ。
人に対する初めての期待の感覚。その昂ぶりは、泣きたくなるような変な感じだった。
夕陽はすっかり落ち切って、私は何度も坂下くんの方を振り返りながら帰路についた。




         3


けれども日常はちっとも変わらず進んでいって、相変わらず坂下くんと教室で話すことはなかった。けれど「普通」という言葉を坂下くんの声で頭の中で呟くと、今まで以上に私は平気だった。
あれは映像の中での出来事として割り切りたい。でもその映像の続きを待ちわびるという楽しみを私は得たのだ。
クラスメイト達は皆光に照らされて、普遍的な青春を焼き付けてゆくのだろう。
落とされた影に目を向けるのは私くらい。けど、それが?私はもっと素敵なものに胸が満たされてるのだ。
ほんのりとした高揚の続きで、妄想に駆られる。それで充分生きていけてる。
 
自分の席から見る坂下くんの姿。松田里奈が坂下の日焼けした腕に触れる。松田里奈のその手も充分に焼けていて、それは「普通」の光景でしかなかった。
私は自分の腕を見る。夏が来ても真っ白いままの肌。赤くなっても、黒くなることは無かった。
こんな手で坂下くんにあんな風に触れてしまったなら、それは「異常」なのかも知れない。
帰りのホームルームで、担任の伊勢崎が明日の午後は野球の全校応援になるという連絡があった。
3年生にとって、最後の大会である地区予選だった。教室中が一気にざわついた。
このクラスは野球部員が5人も居て、担任の伊勢崎が監督なのだ。松田里奈が伊勢崎に、特別にクラス全員分の応援用メガホンを用意して欲しいと率先して提案していた。
ああ、またクラスの一体感が高まるイベントの登場だ。
学校祭も体育祭も、さすがにわたしは反応に困ることが多かった。
けれど今回ばかりは私も少し楽しみだった。「野球」で「青春」する坂下くんが見れると思ったら、お揃いのメガホンを持って応援するという間抜けな光景も、別に構わない。
「豊、このあと時間ある?」
放課後、廊下で豊を見つけて呼び止めた。豊は小さく頷いて、久々にやる?と私の顔を覗き込み、楽しそうに笑った。

空き教室で、豊と私はたまに語り合った。語ると言ってもとりとめの無い事ばかりだったが、普段教室で喋らない私にとっては数少ない舌の発散場所で、血を大量に流したあとのように体が澄んでゆくのだ。
「坂下観察楽しいみたいだな」
校舎近くの個人商店で買ったホームランバーを頬張りながら、豊がそう言った。
「わかる?」
「うん。何か顔が明るい」
私は無防備に微笑んでしまい、自分に驚いて頬を両手で押さえた。豊はそれを見て、鼻で軽く笑った。
「好きなんだなぁ」
「うん。たぶん。でも、なんかやだ」
なんとなく、まだそうゆうのに染まりたくないと、あたしは思っていた。
「悪いことではないよ。あ、ハズレだ」
豊はアイスの棒をゴミ箱に向って投げた。ゴミ箱に入らなくて、豊は軽く舌打ちをして浅く椅子に座り直した。
「よくわかんない」
「ちょっとどうでもいい情報かも知れんけど」
私はすぐ溶けるアイスと格闘するのに必死で、豊の話を頭半分で聞いていた。
「坂下とさぁ、松田って噂になってんじゃん。もたついてると松田に取られるよ」
噂になってるのかぁ。仲いいもんなぁ。不思議と、それくらいの感情しか浮かばなかった。
「恋は楽しいぜ〜」
豊は相変わらず他校の彼女と上手くいっているらしい。そしてその事を話したくてたまらないらしい。
少し、気持ち悪い。
一度彼女の顔をプリクラで見たけれど、お世辞にも美人とは言えない顔だった。
それでも可愛らしくてたまらないと、豊は言う。ちょっと尊敬の念すら覚える。
そんな人の幸せなことより、手に持ったアイスが大変だ。どんどん溶けるもんだから。
「なにボーっとしてんだよ」
松田里奈と坂下くんの事を勝手に映像化してしまいそうだ。
お似合いすぎて、苦しくなることはわかっている。
「ハズレた」
豊の話を割るようにそう呟くと、一気にアイスを食べ切った。
奥歯に凍みて、そのじわっとした痛みを残したまま私たちは校舎を出た。

次の日、天気は曇りで肌寒かった。けれど教室はいつも以上に活気に満ちていて、午後からの野球の応援の話で持ちきりだった。
昼休みの終了と同時に、全校生徒は歩いて行ける距離にある市営球場へと向かう。その喧騒の中に私も混ざった。
球場へ着くと試合は既に四回裏で、2対0。負けていた。一塁側の観客席の一部に綺麗に緑色のメガホンが並んでいて、ベンチに入れなかった野球部員のすぐ横に松田里奈のグループが既に応援していた。彼女達は昼休み返上で場所取りをしていたらしい。すごい気合いの入りようだと、私は少し可笑しくなった。
3Cはこっち!!と松田里奈が叫んで、皆がメガホンゾーンに集まった。私も松田里奈のすぐ後ろに腰を据えた。
打球の行方に皆は一喜一憂する。四回裏はうちの高校の守備で、ファーストを守る坂下くんの姿を確認した。
誰かが、坂下くんかっこいい、と言うのが聞こえた。
松田里奈が、坂下くんがんばってー!!と声を張り上げる。その後に他の部員の名も呼んだが、私には坂下くんを呼ぶ声だけが違って聞こえた。
松田里奈は極めてさわやかだったはずだ。私は、豊から聞いた噂のことで頭がいっぱいだから仕方ない。
もし私が松田里奈だったら、どんなに良かったのだろう。少なくとも、メガホンを下に傾けたまま動けないなんてことにはなっていないと思う。
けれど今は、「野球」をやっている坂下くんを記憶に擦り込ませるという私なりのやり方があった。
低い構え。しきりに上げる掛け声。送球を受けてベースを踏む。時折、口角を上げてキラキラと笑う。
その場面場面に、胸の高鳴りは速さを増した。手が汗ばんでは乾いて、それが繰り返される。
試合中一度も見なかったスコアボードは、2対0のまま動かずに試合は終わった。歓声がため息になって、そのあとすぐに温かみのある拍手が巻き起こった。
観客席に向って、一列に並んで礼をする野球部員の大半が泣きじゃくっていた。私は坂下くんを見つける。
泣いてはいなかった。ただ歯をくいしばって何度も瞬きを繰り返し、涙を堪えているようだった。
その坂下くんの姿が胸をひどく締め付ける。私の体は一切の動きを止められ、目線だけが彼に釘づけになった。
目の前では松田里奈は涙ぐみながら大げさに拍手を送っていた。それは私から抜け落ちた感情がそのまま形になったようで、妙に煌めいて私の目の際に残った。




         4 


その日の帰り道。薄い雲と厚い雲が混在する空の下で、私は自転車を飛ばしていた。無心に近い感情で、ひたすらに河原を目指した。
河原に着くと自転車を乱暴に止め、長い雑草が足をくすぐるのも構わずに土手を駆け下りた。
いつも坂下くんが座っている場所にぺたんと座り込み、とりあえず荒らまった息を整えた。
今日、坂下くんは来るだろうか。来たとしても、私は言葉の選び方さえ知らない。
それどころか。
坂下くんの存在。松田里奈への感情。豊の言葉。たくさんのもどかしさを、今の私は抱え込んですぎてしまっている。
今までに溜め込んだものを、ぜんぶ吐き出してしまいたい。
私は久しぶりに、泣いた。川の音に消え入りそうな、小さなうめき声さえ上げて。
涙を途切れさせないように、心の中で必死に自分を可哀相に仕立て続ける。
私なんて無くなってしまえばいい、とか思ったり。
ぜんぶ吐き出してまっさらな心になったなら、もしここに坂下くんが来ても、月並みな言葉くらいは言えるだろう。
そんな気がして、私は泣き続けた。

時間がどんどん流れて行った。
最後のほうには意識と関係なく流れ続けてた涙も枯れた。空は相変わらず曇っていたけれど、いつもなら夕焼けが差す時間だろう。
いつのまにか、私は今ここに坂下くんを欲していた。心が空になると、それを埋めるものが欲しいのは当然だ。
でも、もう帰ろう。今日ここは彼だけの場所で、私の場所ではないのかも知れない。
ひとつ鼻を啜って立ち上がると、自転車のブレーキ音が聞こえた。振り返ると、そこに坂下くんがいた。
「高原」
坂下くんは鞄を自転車のかごに入れたまま、土手を駆け下りてきた。
私は、泣き腫らした顔を見られないように背けたまま立ち尽くした。
坂下くんが私の左横に座り込む。私もそれにつられて、また腰を下ろした。
「今日、惜しかったよね」
「うん」
坂下くんの返答からは何の感情も読み取れない。
そして思い出したように立ち上がり、鞄からコーラの缶を取り出して、坂下くんはまた隣に座った。
坂下くんは、コーラを勢い良く飲み始めた。
私はあっけにとられていて、ただ呆然としていた。
「久しぶりだ。美味い」
「え?」
「野球部、炭酸入ってる飲み物禁止だったんだよ」
ああ、もう今日で引退だからか。
坂下くんは、切ない表情でコーラを飲んでいる。脈打つその喉元を眺めながら、私は思った。
夕焼けだったらよかったのに。
ここにオレンジの光が欲しい。
「ちょっと寒みーな、今日は」
缶を持つ手がだんだん弱くなっていって、ぶらんと腕を投げ出している。川の向う端に目線がいっている。
「野球、終わったんだよな」
この台詞に、オレンジの光があったらよかったのに。
坂下の切なすぎる声。けれど顔は無表情だった。それがいっそうに苦しかった。
「終わったんだよ」
独り言のような二度目の呟きが、私の胸に鋭い痛みを落とした。文章が美しい小説が、途中で読めなくなる。あの感覚によく似ている。
けれど、今「人」にこんなにも揺り動かされてる。しかもとてつもなく強烈に響いている。
私は坂下くんの手からぶら下がる缶を奪い取って、残ったコーラを一気に飲み干した。
無意識に。けど、止まらない。
空き缶を目の前に放ったら急に体が冷えて、私は両腕を押さえて身震いした。坂下くんはその一瞬の出来事に表情を取り戻し、私の間抜けな様子を見て笑った。
「それはさすがに寒いだろが」
「うん」
読めなくなった小説は、私が続きを考えればいいだけのことだ。私は壊れてる。坂下くんも、壊れればいいのに。
「今日、晴れてたらよかったのに」
私も同じことを思っている。
「天気よかったら、川飛び込んで叫んでさ。うわーってなって。そうゆうの、なんかよくあるじゃん。テレビとかで」 
「それ、やれば」
「え?」
壊れた私はもう、引き下がれなかった。立ち上がると大股で歩を進める。迷い無く水の中へローファーごと脚を突っ込むと、そのまま川の中心まで一気に進んだ。
「何やってんだよ!冗談で言っただけだって!」
水高は膝上ほどで、スカートの裾が水脈に沿って揺れた。私はなんとなく、うれしくなった。
単純な「青春ごっこ」の、ありふれたシーン。水の冷たさも、曇った空も、たった今降り始めた小雨も、立派な演出だ。
「来ないの?」
戸惑う坂下くんの方へ向いて、私は手を差し出した。
坂下くんは、困惑した顔を緩めて笑顔になる。そして、シャツを脱いだ。
ざぶざぶと水を鳴らして、何度もぬかるみに足をとられながらながらこっちへ向ってくる。
「冷てーよ!」
坂下くんが嬉しそうに叫んだ。小雨が、だんだんとまとまった雨に変わってゆく。
私は空に顔を向けて、目を細めた。腫れたまぶたに雨が当たって気持ちいい。
「高原、これ」
坂下くんは、私の目の前で背を向けた。鍛えられた背中に、何度も雨粒が弾けていた。背骨の窪みは、吸い込まれるようにキレイだ。
「野球で出来た筋肉はもう見納め」
そう言って、自分の肩を愛しそうに掻いた。私はいつのまにか、その背中に不釣り合いな白い手で、ごく純粋な気持ちで触れていた。
坂下くんは何も言わずに、ただ空を仰いだ。
これはこれで、涙を流すには丁度いい雨。
とんでもなく上手く綺麗に出来すぎた「青春ごっこ」のクライマックスシーンだと思った。

ここで、終わればいい。私のくだらない人生なんて。




         5 

「高原、おまえだけだぞ。進路が決まってないのは」
放課後の教室で、私は担任の伊勢崎と向かい合わせに座っていた。伊勢崎は私が白紙で提出した進路希望調査のプリントを手にしている。
クラスの半数以上は国公立大学への進学を希望しているらしい。皆部活を引退し、教室はこの頃めっきり受験勉強の空気になっている。
「卒業してから考えようと思ってます」
伊勢崎はこっちを睨み付けながら小刻みに頷いた。
「先生は心配して言ってるんだ」
びっくりするくらい、中身のない台詞だった。
「今からでも大学遅くないんじゃないか。高原なら国公立も狙えると思うぞ」
大学進学コースに居る時点で、この時期に進路未定という事が学校的に大問題だということは分かる。伊勢崎の顔には面倒臭さが明らかに見てとれた。
尊敬できるような先生であれば困らせたくないと思うだろうが、私は伊勢崎が大嫌いなのだ。
40歳目前にして独身。顔は爬虫類のようで気持ち悪い。野球部顧問として指導だけは熱心だが、話ばかり長くて暑苦しく、担任業務も動揺にねちっこくて、何一つ良いところが見つけられないのだ。
目の前で腫れ物に触るような態度を露骨にとる伊勢崎を見ていると、具合が悪くなってきた。
「進路を決めないと卒業できませんか」
私は早く切り上げたくて、これでもかといいほど無機質な言い方をした。
「いや、そうゆう問題ではなくて…」
「帰ります」
絶句した伊勢崎の前で椅子でも蹴り倒してやりたかったが、エネルギーの無駄だと思ってやめた。私は速やかに鞄を持って教室を出た。
廊下には参考書を持った松田里奈がいた。
「終わった?じゃあね、高原さん」
私と入れ違いに、松田里奈は伊勢崎のいる教室へと入っていった。
「何の問題も無い」彼女の姿を見て、急に胸が締め付けられた。
坂下くんとの河原の一件以来、私は混乱していた。映像が現実とリンクしっぱなしで、妄想すらままならない。
私は坂下くんが好きなのだ。
坂下くんが私を好きになって欲しい。
あの日から、河原では会ってない。けれど教室で坂下くんが私に向かって無邪気な笑みをこぼす度に、私は安心した。
あの映像が現実に刻まれた。私は満たされ続けて行けると思い込ませようとした。
けれど松田里奈と坂下くんの噂というリアリティが拭えない。
ぬるく、まどろんだ、正体不明の気持ちが続いていた。

伊勢崎から何かお達しがあったのか、次の日から松田里奈が私に話し掛けてくるようになった。
私の心情を探るために派遣されたのだろう。休み時間、何聴いてるの?とか何読んでるの?とか、そうゆう類の事を聞いてきた。その都度私は当たり触りの無い返答をして松田里奈はグループの中に戻って行く。そんなことが繰り返された。
グループ内では、里奈もよくやるよねーといった陰口が囁かれていたが、松田里奈は熱心に任務をこなすのみだった。
しかし私はもう、うんざりだった。よりによって松田里奈。その直球で、余計な考えが私のぬるくて淡い精神状態を更に乱すのだ。
どうせもうすぐ夏休みだから、それまで松田里奈の正義から逃げ続けるつもりだ。
放課後、私は図書館の返却期限が迫っている本を教室でひとり読んでいた。殆どのクラスメイトが部活を引退していて、放課後に残るものは居ない。豊も、ブサイクな彼女と同じ大学に入ることを目指し、受験勉強の真っ只中だ。
ひとりの教室で、大衆の流れに背いて本を読む。ちょっとだけ陶酔する。
大丈夫だ。ひとりで大丈夫。今までの私は崩壊していない。
「あれ。高原さんまだいたんだ」
陶酔は断ち切られた。松田里奈の声だ。彼女は自然な振る舞いで私の前の席に座る。
職員室で質問巡りだよーと言って持っていた何冊もの参考書を机の上に乱暴に置いた。
「あたし医大受けるんだよね。高原さんは?」
帰るに帰れなかった。松田里奈は早速、核心に触れている。受験勉強に没頭したい彼女にとって、私のことなんて手っ取り早く片付けたいに違いない。
「本当ゆうと、伊勢崎に探ってくれって頼まれたんだよね」
「そう迷惑かけてごめんね」
自分でも驚くほど素直に出た言葉に、松田里奈は慌てた様子だった。
「ううん、全然。ただ、高原さんが悩んでたり迷ってたりしてるなら、あたしでよければ聞くし!」
そんな優等生の台詞が嫌味なく似合ってしまうのが松田里奈だった。
「正直、将来のことなんて今すぐ決めろって方が無理だよ」
私は小さく頷いた。
松田里奈が少し考え込んだように間をおいてから、全く関係の無い話を繰り出した。
「いや、さっき数学の宮瀬の所いったらさー」
松田里奈は、いろいろなことを話し始めた。
先生の話や、部活の話。周りの恋愛沙汰などにも、話題は及んだ。
彼女は一方的に話し続けたが、私はいつの間にか笑いながら相槌をうっていた。
さすが松田里奈。誰もの心を掴むような語り口調で、魔法をかけられたようだった。
「あ、ごめん。あたしばっか喋って」
「ううん、たのしいよ」
「なんかさ、高原さん意外に喋りやすい人だから」
いつか坂下くんに言われた言葉を思い出す。高原、結構普通じゃん。その時と同じように、心に響いた。
私は今一般的な女子高生の会話を為している。松田里奈の魔力のお陰で、ちっとも悪い気分ではなかった。
「ね、高原さんは、好きな人とかいる?」
すごく女子高生っぽいトピックスだったが、坂下くんと松田里奈の噂の手前、避けたい話題だった。
「え?いや、あたしは。松田さんは?」
「あたし?片想いだけどねー」
相手は坂下くんだろうか。さらっと片想いだと言ったのが、松田里奈らしい。
私は完全に松田里奈に心が惹かれているのを感じた。
それは坂下くんとの青春ごっこに似た感覚だった。ひとりを気取っていた私が、こんな状況に陥っている。
奇跡みたいだ。贅沢な、奇跡。
松田里奈の言葉のあとの沈黙の中で、私は映像と妄想が撹乱する頭の中で藻掻いていた。
坂下くんと松田里奈は、当然のように現実で並べられる。
私と坂下くんは、実体がなくて儚い。
松田里奈と私。
もう、よくわからない。
私の脳は、どうしてこんなに複雑にしてしまうんだろう。私はいつもひとりで、脳の波はいつも静かにたゆたっていたのに。
今は誰かに心が掻き乱されても、仕方ないかもと思う。
傷ついても誰かに傍に居てもらいたいかもと思う。
「松田さんの好きな人って、坂下くん?」
松田里奈が速い瞬きをした。
「急に、なんで?」
「噂になってるみたいだから」
松田里奈はその可愛らしい顔から長い息を吐いてから、少し間を置いて言った。
「片想い。坂下くんは、野球野球の人だし」
私は多分、気味が悪いほどの優しい顔で聞いていたと思う。
「でもすごい好きだから。頑張るよあたし」
少女漫画かよ。一瞬思って、掻き消す。
「私も坂下くんが好き」
やっぱり、少女漫画だ。
自分の想像より遥かに穏やかな口調。それに反して、松田里奈の顔は驚きを隠せない。
「でもそれだけだから。がんばってね」
本当だ。
松田里奈の気持ちがはっきりして、妙に心が静まったのだ。
私はひとりに戻りたい。人を欲したら限りがなくなってしまいそうで、ひどく怖いから。

間もなくして、私と松田里奈は校舎を同時に出た。坂下くんの話題は分かれ道まで一切出なかった。
松田里奈はいつもどおりの完璧な笑顔を見せてバイバイと言って、スカートをはためかせて自転車に乗っていった。
私は出来るだけ何も考えないようにして、自転車を走らせた。強い陽射しが容赦なく私の腕を照りつけるのにも、構わずに。
河原に坂下くんの姿が見えても、私はわざと目を霞ませた。
そこに無いものとしたくて、うんと目を霞ませた。
 ─私を待っていてくれているのかも知れない。
油断した隙に浮かんだことを必死で掻き消したら、涙が溢れ出した。
その時、道路の小さな起伏に体が異常に反応した。急に恐怖を覚えた私はブレーキを力いっぱい握ってしまい、バランスを崩して自転車ごと横倒しになった。
擦った肘から血が滲む。じんわりとした痛みも伴って涙が余計に流れだす。座り込んだまま、静かに私は泣いた。
 ─大声をあげて泣けば坂下くんに届く。
 ─坂下くんはきっと駆けつけてくれる。
自己嫌悪だ。
涙を拭い続けた夏服の袖は、生暖かい風さえも冷たくした。




         6 


私は、空虚な夏休みを過ごしていた。
18歳の夏が急速に過ぎて行く。それを黙って待つように、本を読み、音楽を聴き、映画を観て過ごす毎日。それだけで空はどんどん遠くなってゆく。
何を身体に取り入れても、幸せじゃない感じだ。
松田里奈や坂下くんとあったことが、既に幻のようだった。けど、それが?私は幻を抱きながらも、自分を取り戻してゆくのだ。

夏休みの終盤に豊から届いた手紙で、松田里奈と坂下くんが付き合い始めたという事を知った。
知らないよりは知ったほうがいいと思って。豊の綺麗な文字で、そうやって書いてあった。
私はぼんやりと、その事実を呑み込んだ。

時々、あの河原に行った。
晴れてる日には川に飛び込みたくなった。
怖いくらいに、心は穏やかだった。
遠い幻の映像が目に浮かぶ。両手で水を跳ね上げる。
今見ているきらきらした水の流れが、青い空が、いつか私の青春の映像に都合よく混ざっていくんだろう。

二学期が始まって、賑やかな教室にまた投下された私は、すっかり以前の自分に戻っていた。
豊は私に対していくらか敏感に扱った。けれど私は、また以前のようにとりとめのない内容の手紙を書くだけだ。
松田里奈はむやみに話し掛けて来なくなり、私は坂下くんを目で追うこともやめた。
そして穏やかに日々は流れ、坂下くんと松田里奈が一緒に下校する姿を誰も気にしなくなった頃、私はあの河原でひとりたたずむ彼の姿を久しぶりに見たのだった。
空は最初の頃よりずっと高く白みを増していて、坂下くんの坊主頭も少し伸びていた。
私は新鮮な気持ちで、叫んだのだ。
「坂下くん!」
坂下くんが、振り返って笑った。私もそれにつられて、笑い返した。
美しく編集したこの夏に思い残すことがあるとすれば、坂下くんの背中。
晴れた空の下で、もう一度見たい。
私は土手を駆け下りて、そのまま、川の中へと足を入れた。
この最後の欲望のために、思いきりに壊れたくなった。
彼は満面の笑みで言う。
「おかしいよ。なんか前あったな、これ」
私は嬉しくなって水を掻き上げる。何度も、何度も。
「坂下くんも壊れてよ」
「えー?」
「だって、晴れてるし」
坂下くんが立ち上がって、こっちに来ようとしている。私は動きを止めて、彼ををじっと見つめて言った。
「坂下くんが好きだった」
坂下くんはじっとしていた。特に驚いた様子がないのは、空気に溶け込むような言い方をしたせいだろうか。
「背中。触ったとき嬉しかったよ」
そう言って私はまた水を跳ね上げる。
坂下くんは、よくわからない感じの笑いを浮かべて、あの時より少し伸びた坊主頭を掻いている。
そして、シャツを脱いでこっちに向かってくる。
なんか、叫んでる。
すごくバカバカしい、この空間がいとおしい。


もうすぐ、秋になる。
2007.08.28 Tuesday ... comments(0) / trackbacks(0)
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