そういえば、あたしが高校生の頃、
知らないおばさんが突然家に来たことがあった。
埼玉から来たと言った。
父に「大きくなって」といい、祖父の遺影に手を合わせた。
そのおばさんは、30年ほど前に、うちで働いていた人だった。
当時、親の決めた相手と結婚させられそうになったおばさんは、
北海道の偏狭にある我が家に恋人と2人で逃げてきたのだった。
2人はうちに住み着いて、一生懸命仕事をしたそうだ。
その後はよくわからないけど、無事に2人は結婚した。
うちの祖母や曾祖母は、2人を嘲笑いながらその話をした。
けれど、2人を受け入れた。
今年、生まれてからずっと一緒だった幼馴染が結婚する。
だからあたしの結婚のことをみんなが心配している。
25才までには結婚しなければならないというローカルルールが、うちにはまだあるんだ。
あたしがまだ仕事も恋愛もろくに出来ない人間だということ、
きっと何とか受け入れられるだろう。